(おい、“ソルディス”)
(……何だ)
(ああ、やはり分かりやすい!お前は少し声が優しすぎる)
(――流石だ、アルキデア。あんたの目は誤魔化せない)
(私の事を甘く見すぎだクロムセリア。というかお前の兄貴が馬鹿なのだ。見分けられぬセルシュもセルシュだが、瓜二つなお前等もお前等だ――ああ、しかし何故あいつは直々に来ない。明確な理由がなければ何とも腑に落ちん。この私を差し置き優先させるとは、一体どれだけ大事な用があって)

「――アルキデア!私は真剣な話をしているのですよ」
「黙れセルシュ。私は今この替え玉と真剣な話をしている最中なのだ」
「替え玉?意味が分かりませんがふざけるのも大概にしなさいな。貴方はそうやって会合の度」
「……ほう、そこまで私を貶すとは余程の覚悟があるのだなセルシュ」
「喧嘩腰はお止めなさい」
「命令するな。貴様は私の母親か?」


(今この場で、実はソルディスはティナという嫁に甘味を渡すという一大イベントが待っているため夜更けの会合をすっぽかして俺を替え玉に寄越しました等と正直に言った瞬間このホールは大惨事になる、そう確信した聡明な弟君は、兄上の様にちょっと顔を顰めながら黙って役者に徹する事を心に決めた)



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