「やだ、それじゃあ私、六個渡したカステルの方が大好きで四個渡したソルディスはあんまり好きじゃないって言いたいの?」
「俺ではなく、アルキデアが」
「在る気…?よく判らないけど、私、ソルディスが甘いの嫌いだから考えて量減らしただけだったのに」
「その言葉に偽りは」
「ある訳ないじゃない」

意味がわからず首を傾げて見上げる姫君は、ちょっと困ったように、でも少し嬉しそうに自らの小指を弄りながら言った。

「ソルディスもそういうこと気にするのね。あれよね、小説とかで出てくるヤキモチってやつ。あ、ごめん、怒らないで……確かに、この間貰った指輪のお返しなんかにはならないわよね。え?あ、うん、それは判ってるんだけど――大丈夫よ、私、お菓子の量なんかでその人の好き嫌いを出したりしないわ。だって、それを言ったらグロチウスはどうするの?私一番チョコをあげたのはグロチウスよ、いっぱいの藁に、チョコをかけて……夕方行ったら、ちゃんと全部食べてくれてたみたい!口の周り甘い匂いさせて、ぐったりと馬小屋でくつろいでたっけ。私嬉しすぎて、思わず彼にキスしちゃった」


胸焼けをしてぐったりとしていたグロチウスは、後日毛づくろいをしにきた主人の瞳が笑っていない事に内心を凍らせながら、異国の風習など一体何処の誰が姫君に吹き込んだのだと心底疎ましく思わずには居られなかった。





愛を込めて






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