どうしようも無い馬鹿とは、彼女の為にある言葉だと思われる。
いや、それは死んでも声に出して言わないというか、声に出した時点で主人に殺されると言うべきか。
彼女は確かに純粋で、率直で、見ている方が危なっかしいと思うような性格をしているが、今回のコレはそのどれにも当てはまらない彼女の性格を示しているのだと心から思う。馬鹿?馬鹿か?いいや、考えなしと言うべきか?
――無知。それが一番しっくり来るといえば来るかも知れない。
ともあれ自分はこういう嗜好は無い訳だし、それは、向側に座って哀れそうに此方を見据える白毛の彼女にとっても同じ事であろうと思う。

どっさりと、それはもう視覚だけでお腹いっぱいですと言いたくなる様な量のそれと、小屋に充満する甘ったるい香り。

呆然とした目で(それも勿論魔獣としての姿のままで)彼女を見上げると、少女は嬉しそうに微笑んで、

「嬉しそうね、グロチウス!良かった、私、朝早く起きて頑張って作ったんだから」

――だから、コレを全部食べろと。チョコレートがたっぷりかかった、馬用のこの草藁を。






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