「六個入りです」
「……四個入りだ」
「おお、これは面白い。果たしてそのチョコレートの個数がそのまま愛情の多さを示しているのか、それとも単に甘味を苦手とするお前に対する姫君の遠慮であるのか」
「後者に決まっていると俺は思うが」
「大した自信だな領主殿。しかしまぁ、女というのは自分の感情に正直だ。ああ、何といったか、大陸一の剣士様――カステル・ジニア、貴様よもや姫君と不義密通の仲などではあるまいな?」
「……アルキデア殿!」
「おおこれは不躾な事を言ってしまったなカステル・ジニア。何、愚弄した訳では無い。貴様は人間の割りに欲も無く非常に聡明で顔立ちも整っている。幼少の折から生活を共にし全てを手取り足取り教え込まれた姫君がお前に心底惚れてしまっても不思議は無いと言っているのだよ――ソルディス、悪かった。悪かったから私の茶にわけの分からぬ液体を混ぜて寄越すのは止めてくれ」






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